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早川合同パトロール

 さる10月20日に、恒例の早川合同パトロールへ、県峡南建設事務所身延支所、早川漁協、富士川漁協と共に行ってきました。

 

 これまでにダム堆積土砂の搬出状況、川砂利採取・選別の状況、リニアトンネル掘削土の保管状況、河川工事の進捗等、早川水系の河川環境に関連する各種施設や作業を視察してきましたが、今回は水力発電所施設の視察です。

 

 南アルプス周辺に降った雨は早川水系の水となり、海に注ぐまでの間に最大で9回も発電に利用されるなど、高度利用されています。発電は、県企業局、東京電力、日本軽金属で行われていますが、今回は日本軽金属の取水施設、榑坪(くれつぼ)監視所です。

 

 

 こちらの施設は、早川水系の最下流に位置する取水施設ですが、同時に毎秒1.4立方メートルの維持流量が設定され年間を通じ放流されています。

 

 設置された堰堤で魚類の移動を阻害させないため魚道が設置されています。(下手な)写真ではほぼ分かりませんが、隔壁に板ゴムが設置されるなど摩耗対策が丁寧に行われているようです。石礫の移動の盛んな中上流域では、隔壁が瞬く間に摩耗して機能しなくなってしまう魚道が多数あります。機会があれば是非状況を確認してお伝えしたいと思います。

 

 ところでこの堰堤は何のためにあるのでしょう。正解はこの後に・・・

 

 

 この監視所では、榑坪の堰堤から早川の表流水が取水され、大きな沈砂池に流入してきます。

 

 

 砂等が取り除かれた水は、オーバーフローして発電所へ送水されていきます。

 

(写真右が沈砂池、左の泡だったところが沈砂後のオーバーフローした水)

 

 それに加えて、川向こうの山に見える2本の筋は、東京電力早川第1発電所の水圧管なのですが、ここで発電に使用された水も早川の川底をくぐって、この監視所に導かれています。

 

(クリックすると動画になります)

 左から流れ込むのが、東京電力の放流水、下から上へ流れていくのがここで取水された表流水、上方の先はトンネルになっていて、発電所に向かう。

 説明が難しいので、Google earth で見るとこんな感じです。

 

 

 先に紹介した堰堤は、この川をまたぐ送水管を保護するためのものなのです。

 

 取水された水は、有効利用のため河川に放流されることなく、次の発電所に向かっていきます。

 

 ところで、濁りが大きな問題となった早川なので、漁業関係者とすると沈砂池の排砂が気になったので、その状況をお聞きしたところ、一定以上の流量で濁りのある時に行い、河川環境への影響が少なくなるよう努力しているとのことでした。

 

 

 今年の早川下流の富士川は、平成21年以来15年振りに尺アユフィーバーに沸きました。 富士川漁協おとり店に持ち込まれただけで30尾の尺アユが確認されています。

 

 今年の好漁は、昨年や一昨年のように1ヶ月近く濁りの酷い日が続かなかったことが、一番の要因と思われます。

 

 来年もこのような好漁を期待したいところですが、海産アユの資源量や、魚道流量の上り易さも大きく影響すると考えられるため、どうなるかは神のみぞ知る。

 

 自然に逆らうことはできないものの、一番の濁りの原因であろう稲又谷川八潮崩れの土砂移動が、徐々に落ち着いてくることを願うと共に、関係者へは引き続き環境への配慮をお願いしつつ、パトロールは終了となりました。

2025年10月28日(火)

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