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漁場環境保全の活動 御勅使川 合同パトロール

 数多くの扇状地が形成される甲府盆地の中でも、御勅使川(みだいがわ)の扇状地は特に規模が大きく、また崩壊地もあることから土砂生産量の多い河川でもあります。

 

 御勅使川は暴れ川としても有名で、古くから石積出しや将棋頭で流路を固定し氾濫を抑えることが行われてきました。最終的に流路を北へ換え台地の高岩に当てて釜無川に合流させ、その下流に霞堤の信玄堤を作るることで甲府盆地への氾濫を防ぐという治水システムを武田信玄が確立させています。

 

 御勅使川の下流部は、床固め工が連続しています。

 

 

 ところで、富士川水系には西から流れ込む川で濁りやすい河川がいくつかあります。この御勅使川もその濁りやすい河川の一つであることから、今回県の中北林務環境事務所および中北建設事務所の協力を得て、所管の山梨中央漁協と共に、御勅使川流域の砂利採取場の濁水処理状況等について現地視察を行いました。

    

 

 一番目の砂利採取場の構内には、地面がぬかるんでいるところがありましたが、構内で発生した濁水が直接河川に流出しないために、ここが一番低くなっているとのことでした。なるほど。

 

 

 場外へ出る車はここで汚れたタイヤを洗浄して出て行きます。洗浄水はシックナー(洗浄水沈殿分離装置)へ導かれ、砂利の洗浄選別水と一緒に濾過されます。

 

 

 シックナー(右奥の円柱形の設備)で沈殿した泥は、中央の建物2階にある装置で脱水され脱水ケーキとなって1階に排出されます。

 その後、脱水ケーキは、山砂利を採取した際にできる窪地へ搬出しているとのことでした。

 

 

 2番目の砂利採取場では、大きな装置が動いていました。

 

 

 シックナーを上部から見学すると、中央の大きなモーターで槽全体を攪拌しています。

 

 

 沈殿した泥の脱水装置は大きなプレスの機械です。

 

 

 こちらは、脱水ケーキの一時堆積場です。こちらでは場内で砂利採取をした窪地に堆積しているそうです。

 

 

 後日Google Earthで見ると、場内にポチポチと脱水ケーキを石灰処理した改良土の山がたくさん並んでいました。

 

 

 3番目は、砂利ではなく岩石採取場で、選別はするものの洗浄は行わず、直接砕石として販売しているとのことでした。場内の雨水排水の沈砂池を確認し、砂利採取場の視察を終了としました。

 汚泥を処分できる場所が確保されているので、一安心です。砂利採取はこの地域の重要な産業ですから、引き続きこのように環境への配慮をしつつ、事業を進めていただければ有り難いと思いました。

 

 

 ところが、帰ろうとしたまさにその時、それまで澄んでいた御勅使川が濁っています。関係者一同慌てて上流に上り、発生源の確認に走りました。

 

 右に見える放水口から濁水がでているようです・・・・。人為的な濁りに間違いありません。

 しかし、悔しいことに明確な原因を特定することはできませんでした。このため、引き続き連携して注視し、状況に応じ対応することとになりました。

2023年5月1日(月)

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