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水辺の小わざ魚道

 11月13日に全国内水面漁業協同組合連合会の事務担当者研修会が岡山県倉敷市で開催されました。

 

 

 (国研)水技研の中村さんから「漁協の自己診断マニュアル」、環境省の寺内さんから「中国四国カワウ広域協議会の取り組み」について講演があり、さらに「これからの内水面漁協について」について各漁連の意見交換が行われるなど、盛りだくさんの内容です。

 

 

 山梨県でも、これらの情報を取り入れて、引き続き内水面漁協の活性化を積極的に図りたいと思いますが・・・・せっかく岡山まで行ったので、帰りに神戸市で途中下車して、住吉川で施工された「水辺の小わざ魚道」を視察してきました。

 

 住吉川は、過去の大水害により、雨水を早く安全に流すため、河道が拡幅され、三面張りとなり、河床勾配緩和のため多数の落差工が設置されました。その結果、水生生物の生息できる環境が減少すると共に、生息域が分断された、生き物が住みにくい川となっていました。

 

 そこで、地域団体の要望を受け、県土木事務所とともに、「アユが棲みやすい川づくり」を目標に、魚道の設置が始まったそうです。

 

 (住吉川の魚道の図鑑から転載)

 

 そこで採用された水辺の小わざ魚道の特徴は、どの大きさの生物でも、何時でも、何処かしら登れるルートがあることです。加えて安価で、人にも安全、協働作業による人のネットワーク化も行えるなど多数の利点があります。

 

                                                       (山梨県富士川水系常葉川)

 

 そんな小わざ魚道、山梨での施工例は一箇所のみなので、今回の視察は興味津々です。

 

 

 住吉川の河口から遡ると直ぐに魚影が見えました。

 

 

 11月半ばですが、アユが彼方此方に見えます。サイズは15cm程度とこの時期にしては小さいですが、規模の小さい川なのでこの程度でしょうか。それにしても数が多い。

 

 

 魚道は12基設置されていますが、先ずは1号魚道。

 

 

 続いて2号魚道

 

 

 3号魚道

 

 

 4号魚道とここまでは全段面の魚道です。

 

 

 5号魚道からは、経費削減のため全段面ではなく部分魚道になっています。

 

 

 全段面の方が登りやすそうですが、魚が登るのに必要な流路の幅は、魚の体長の半分あれば良いのです。何故なら尾びれをそれ以上振ることはないから。

 この幅だけ流れの条件が良いところ(流速、水深)があれば、遡上は可能です。

 つまり体長20cmのアユなら、最低10cmあればok。

 

    

 

 各魚道の横には銘板がついていました。

 

 

 唯一中央に設置されている7号魚道。

 

 

 8号魚道

 

 

 9号魚道

 

 

 列車の時間もあり、足もくたびれてきたので、10・11・12号魚道は遠くから。

 

 

 さて、今回の視察で驚いたのが鳥が逃げない。直ぐ近くで観察できます。こちらは、アオサギ。

 

 

 コサギ

 

 

 マガモの雌。

 これだけ至近距離で観察できるのは、地域の方々に愛され、イタズラもされず、餌が豊富だからでしょう。

 

 

 流路の周辺は、人工的ではありますが、散策する方も数多く見受けられました。

 

 

 今回の視察でとても目についたのが、アユの多さ、小規模河川の割には、流量が多いこともあるのかもしれません。水も綺麗で気持ちい~い。

 

 しかし、落差が50cm以下の堰堤には魚道を着けていないことが、今回一番感心した点です。

 

 堰堤直下に水深のある淵がありましたが、これを上れる堰堤と判断して施工箇所を絞ったことは、地元の方の緻密な観察データの蓄積と施工者の見極めセンスの良さを感じました。

 

 

 大先輩の浜野さんの逸品、「水辺の小わざ魚道」に感激した現地視察でした。

 

 

 

2025年11月19日(水)

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