お知らせ

1012日に県峡南建設事務所身延支所と身延建設業協会が共催した、勉強会へ出張して「水生生物と河川環境」と題し、30分ほど話をしてきました。

県の峡南地域は、山梨県南西部にあり、濁りの発生が問題となっている早川と早川が合流する富士川の流域にあります。最近とても環境保全にご協力いただいており、漁業者との合同パトロールの実施やこれら勉強会の開催を、率先的に実施してもらっています。

 今回は力を入れて準備しました(力を入れざるを得なかった一番の理由は、講演終了後にアンケートを取る!! と聞いたから。久々のテストを受ける気分です)。

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アンケートの様式

 

勉強会には河川工事の発注者と施工者の両者が、併せて約40名参加されるとのことなので、今回の内容はこんな構成にしてみました。

①どんな水生生物が渓流にいるのか

②魚が川に住むために必要なもの

③富士川の特長

④河川環境の保全に向けて、の順にパワーポイントで県内の写真を実例として示しながら説明し、最後に発注者に対しては環境へ配慮した設計を、施工者に対しては濁りの発生を抑えた施工をお願いしました。

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b2.jpgのサムネール画像
 質疑応答の中では、「濁りが発生する場合、濃く短くと薄く長くではどちらが影響が少ないのか?」、「澪筋を形成する場合の注意点は何か?」など、難しい質問もありました。科学的な根拠に基づく説明はできず、感覚的な表現での回答しかできないのですが、それでも何らかの役に立って欲しいと思い説明を行い、無事終了となりました。


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ほっとして職場に帰ると、早速アンケートの集計結果が届いていました。どの項目も平均点では10点満点中の8点以上で、ホッとしましたが、やや否定的で厳しい採点の方もいらっしゃいました。けれども次回の講演を更によくするためには、このような厳しい意見が役に立つ場合が多いのです。自由記述欄には、「失敗談を聞くことが出来て参考になった。」、「多自然川づくりの考えが設計仕様にうまく盛り込めていないと感じた。」、「発注者、施工者、水産技術センター等の会議体を作るのも良い。」、「 富士川でアユ釣りをしていたが、近年釣れない原因は何でしょうか。」、一方「富士川の魚がいなくなった理由の一つにカワウの影響もあると思う。」、「川の濁りは子供の頃から余り変わっていないと思う。」など色々な意見があり、今後の参考にして行きたいと思いました。

富士川の濁りに関する問題については、山梨大学生命環境学部の岩田教授が科学的な調査を進めています。

富士川水系から駿河湾に流出する濁質成分の発生源と河川-沿岸生態系に及ぼす影響を調査し、流域の様々な利害関係者が係わる上流-下流問題の解決に向け、現場でのサンプリングと共に関係者からの聞き取りを進めています。

県漁連でもこの問題の解決に向け、微力ながら協力をしているところです。

さる921日には当方も同行し、地元雨畑の関係者から、雨畑ダム堆積土砂対策についての意見や要望を聞き、その後流域を管理する峡南建設事務所身延支所から河川管理の状況を聞き、情報の収集整理に協力してきたところです。

1067日には、早川の新倉から静岡県側の富士川逢来橋にかけて、7箇所で現地調査が行われました。関係者と共に当方でも一部箇所のサンプリングに協力させてもらいました。

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河床間隙水の採水

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水質測定と記録

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底生動物の定量採取

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採集された底生動物(カゲロウ、トビケラ)


調査の目的とするところは、水質成分の特徴の把握、濁り成分の流下範囲の特定と粒径毎の輸送特性の把握、濁り成分の年間移動量と発生箇所の推定、水生生物の分布、多様性、食物連鎖、物質循環への影響と盛り沢山です。

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県知事の特別採捕許可に基づく魚類採捕


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採捕されたカマツカ、カジカ、アブラハヤ

 

これだけの項目を一度に行うことはできないため、先ずは現状を把握するための調査になります。ただし、これからは地域共有財産としての生態系保全と資源の持続的利用のために、富士川水系の統合的学術調査が必須であり、そのためには関係者が共通の認識に立ち、問題解決のために行動することが必要と、岩田先生は話されていました。

当日の流れは清冽でしたが、一部地点では川底の礫を動かすと下から泥が巻き上がる状況も確認されました。県漁連も富士川水系の環境改善のため、少しでも役に立つよう関係者と連携して行きたいと考えています。

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やる気満々、心は晴れ晴れ。ただし、サンプル沢山で荷物は重く、帰りの足取りはゆっくりでした。

 


富士川・アユ産卵場作り2021 見学体験会の参加者募集

 先日 芝川漁協の長谷川組合長さんが、わざわざ山梨の当事務所までお越しいただき、このことについての協力を依頼されました。
 芝川漁協は静岡県の漁協ですが、その管内に富士川本流を含んでいます。富士川の水はご存じのように山梨県から流れ、そこに生息するアユは県境を気にすることなく遡上、降下しているので、流域の関係者としてこの事業へ賛同したところです。

 山梨県内からは少し離れますが、よろしければご参加下さい。

日時:10月24日(日) 13:00~15:00
場所:富士宮市沼久保地区の富士川河川敷にある 水辺の学校
申込方法:下のチラシのQRコードから

申込期限は過ぎていますが、可能な限り受付をしていただけるようです。

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 県漁連が例年開催している釣り教室は、屋外で行う行事ではあるものの、日常接していない不特定多数が集まります。
 先日理事会を開き、開催の可否について検討した結果、コロナの感染状況は落ち着いてきているものの、あえて感染拡大の可能性がある行事を、行うべきではないと判断されました。
 本事業は、将来の釣り人養成が目的です。そこで、釣りを行う機会の増加を図るため、魚と釣りに関する情報をチラシとして作成し、県内小学校の高学年に配布することとしました。
 年内にはお手元に届くと思いますので、小学生の皆さんは楽しみにしていてください。

近年これまでになかった自然災害の多発に対応し、国民の生命財産を守るための国土強靱化事業が積極的に実施されています。ただし、早急な事業拡大により河川法の目的の1つである「河川環境の整備と保全」がおざなりになり、以前からある渓畔林の伐採や瀬淵構造の直線化などにより、河川環境が劣化する事例が多発しています。

今回甲府市内を流れる荒川で河川内の浚渫・伐採事業が行われ、これによる河川環境の悪化が懸念されました。このため、当該河川を漁場とする山梨中央漁協が、発注者である県の中北建設事務所へ河川環境の改善を図るよう要請をしたところ、一定区間において浚渫作業が一段落したことから、関係者が集まり改善方法について協議することになりました。

令和3831日、千松橋下流の工事現場に、山梨中央漁協、中北建設事務所、請負業者、山梨県水産技術センター、当漁連の関係者十数名が集合しました。

 

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一定区間の浚渫・伐採工事はほぼ終わり、工事区間の中央に幅5m、深さ60cmほどの澪筋が掘られ、その左右に石が仮置きされていました。当日は水位が30cmほど高いため、澪筋を含む右岸半分を水が流れていました。

 

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中北建設事務所の担当者から「澪筋周辺に石を配置し、流れに変化をつけたい」、山梨中央漁協からは、「川底にも石を配置して欲しい」との要望がありました。

実はこの周辺では以前にも、河川環境を改善する試みが行われています。しかし、努力した割には、なかなか顕著な効果が得られていません。なぜなら甲府市街地を流れる荒川は、山間の狭窄部から流れ出した扇状地上にあり、防災のため半世紀近く前から近代的な河川改修が行われ、落差工が連続して設置され、低水路は護岸で固めてあります。このため川の直ぐ脇を掘削すると、多分土石流で流されてきたであろう2mを越える巨石が出てきますが、流路内の巨石は河川工事に伴い撤去または破砕され、底質の粒径が小さくなっています。


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また、この区間の平水時の流量は、盆地内での経済活動のため、上流で上水、農業用水等に大量に取水されていることから、河道断面が大きい割に平水時の流量が少なくなっています。さらに、この区間は設置された落差工により、本来の河床勾配の約12に緩やかになっています。加えて上流からの土砂供給もほとんどないことから、河床は固くしまるなど条件が厳しく、環境を改善するのはかなり難しい場所なのです。

かつてあった泳げるような環境を再生させることが理想なのでしょうが、現状でそれは不可能であることから、残された石を使って少しでも改善させる方法を検討してみました。

低水路幅一杯に流路を振り、交互砂州を作ることは、治水上リスクを伴うので避けたい、との河川管理者の意向がありました。これを踏まえた結果、堤防の天端にやや余裕のある落差工の下流の部分に、治水上支障のない範囲内でなるべく大きな淵を作るのが、ここの漁場環境を改善させるのに最も有効だと考えられました。そこで落差工の直下流は出水時に洗掘されることから、落差工からの水勢が弱まるであろう20m下流でアーチ状に石を組み、その上流に淵を形成させることを提案してみました。具体的には、現地にある大きい石を使い、できれば3段ぐらい積み重ね、河床から石の上端までなるべく高くする。

また、その下流の区間は先に述べたようなことから漁場改善は難しいものの、50mピッチで水制工を設けて流路に変化を持たせ、後は出水による自然の変化に任せることになりました。

  ただし、この作業は、施工業者が可能な範囲で任意により対応する仕上げ作業になります。このため、余り無理は言えないのですが、どのように仕上がるか、漁業関係者は大きな期待しているところです。また、うまくいかなくても、今後の作業現場でさらなるステップアップを試みてもらえると思います。
  また、石を設置する際には、石の組み方が非常に重要で、ただ置くだけでは流されることから、石の上端が下流側に傾斜した(のめる)ように配置し、平面的にはアーチ状にして力を分散させると石が安定しやすいことを説明しました。ただし、現地にある石は比較的丸い形状のものが多く、「言うは易く、行うは難し」です。重機のオペレーターさんのセンスに期待したいと思います。


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左が上流、石の上端は下流(右側)へ傾き、石と石はうろこ状に重なっている。

 

以上のことについて意見交換をしながら、参加者で設置場所の詳細等を検討し、最終確認を行いました。

 

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最後に、山梨中央漁協の宮島組合長が、「こういった機会を設けていただいたのはありがたい。人にも魚にも良い河川を残していくために、今後も共に検証していけたらと考える。」と挨拶をしていただき、打合せを終了しました。

 

県漁連としても、今後どのように仕上がるのか、期待しながら注視して行きたいと思います。

また、このような漁場環境改善のための機会を与えていただいた、中北建設事務所河川砂防管理課の担当者の皆様、施工業者の皆様、技術指導していただいた県水産技術センターの皆様、魚を住みやすくするために熱い情熱を燃やしている山梨中央漁協の皆様に、併せて厚く御礼を申し上げます。

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